そんなふうにして疲れ果てて帰ってきたときに、彼が「プレゼント」と言って渡してくれたのがコレ。
大好きな佐野元春が新しいアルバムを、やっと！やっと！（彼も9.11以来作品を出せなくなっていたアーティストの一人だ）出していたことにすら気づかなかった自分は、早速自分のPDAに入れて、毎日のスケジュールチェックなどをしながら、ずっと聞いてるわ。
あたしは長いこと佐野元春のファンの一人でいたけど、これは今までで、あたしのなかで最高のアルバムになると確信してるわ。
音楽は、あたしたちを癒そうと狙っている。
ラブソングなんて、疲れてる若い女を慰める曲ばっかりで、聴くたびにあたしは「マーケットは弱ってる人間を狙ってるのね」って思ったりするんだけど。
佐野元春のこの新譜は、そういう意味ではまさに、疲れてる大人をみんな、狙ってるんだと思うの。
不景気と9.11がもたらすこの閉塞感。
少なくとも建前に隠れていた、見たくなかったものが、すべて見えてしまって、よりにもよってさらにあたしたちは、それにすっかり馴れてしまって、鈍くすらなってしまっている。
疲れているあたしたちは、焦っちゃいけない。
でも、諦めちゃいけない。
立ち止まって、目を閉じて。
「思い描いていた未来とは違って」たことに力を奪われないで。
騙されないで。
心に耳を澄まして。
大事な魂の、信じているとおりに。
顔を上げて、陽気に。
大人になるということが、年を経て、様々な経験をし、
体が弱り、心に様々な思いが蓄積することだと言うのなら、
あたしは、大人になってよかったと、ほんとに思うし。
このアルバムは、大人のためのアルバムだと、思うわ。
大人はタフで、そして、自分のなかに、絶対に失えない、大切な何かを持っているのよ。
