火葬の手配と退院

2004年12月1日
出産翌日の1日。
夫に婦長さんから話があったの。
葬儀の手配をどうするかってこと。
出産でも驚いたけど、5ヶ月以上の胎児の場合って、ほんとにほとんど人間扱いなのね。
特に知り合いの葬儀社もないので、病院の出入りの業者を教えてもらって。
個室にいるうちにと思って、早速営業さんに来てもらったわ。
彼が休みの日がよかろうということで、3日に火葬場の予約を取って。
お葬式なども勧められたけど、もとより、そんなつもりもないので、あっさりと火葬のみになって。
不思議ね。
悲嘆にくれてる母親だったはずのあたしは、こういうことになると、いきなり、しゃんとしてしまって、彼はそれをわきまえたもので、あたしの後ろに控えていてくれて。
「お花を用意しますか」と言われたけど、断ったわ。
「当日、入れたいお洋服とかおもちゃがあれば」とも言われた。これにはちょっと胸を突かれたわね。そういうものはみんな、産前休暇に入ってから揃えるつもりだったから、本当に何もなくて。
当日の待ち合わせと予約した斎場を教えてもらい、予定額を聞いてお終い。火葬代と棺代だけで、およそ10万弱。

業者さんが帰ってから、看護婦さんが来たので、火葬予定日のことを説明して、2日には退院できないか、お願いしてみたわ。
出産と同様、ほんとは1週間入院の身の上らしいけど、状況が状況だから、看護婦さんも同情してくれて、病院に一人でいるよりは家にいるほうがいいって思ってくれたみたい。

ほんとは、術後の診察があるはずだったんだけど、ドクターグレイが外来で忙しくて、なかなか来れず。
代わりの先生が一度来てくれたんだけど、あたしとしては、子宮筋腫のこととか、今後の妊娠のことが聞きたかったから、後日でも、ドクターグレイにとりあえず相談しようと思ってた。
二度流産したから、流産の確率はそんなに高くないのに続けてしたから、不育症なのかとも思ったし。
彼とも、必要なら、お互いの染色体検査をしてもらわなきゃと思ってたの。

けれど、結局、午前中いっぱい、ドクターグレイは来れず。
お昼を食べてから、NICUから元の二人部屋に戻ることになったわ。
歩ける、つもりなんだけど、車椅子。
押してくれる看護婦さんは道すがら
「大変でしたね」
って声を掛けてくれて
「でも、お母さんとして、よく頑張られましたね。こんなお母さんのもとに生まれて、お子さんも幸せだったと思いますよ」
ですって。
感謝しつつ、「死んでるのに、幸せも何もなあ」と思いつつ、自分の昨日の遺体を見たときの激情を思うと、この看護婦さんの対応は適切なのかなあと思いつつ。
後で、夫と二人で「看護婦さんたち、あたしのこと、泣かせようとしてたよね」って言い合ったわよ。泣いた方が楽になるから?カウンセリングの一環なのかしら。

二人部屋の病室に戻ってしばらく、彼に早めに家に帰るように言ったわ。
だって、結局、29日から3日間、ほとんど病院に詰めてたようなもんだもの。
でも、彼、帰りませんでした。
29日に早く帰らせたんだけど、そのとき、家に帰っても、気になって落ち着かなくて、後悔したから、ぎりぎりまでいるって。

ドクターグレイが来たのは、夜も7時過ぎてから。
「遅くなっちゃってごめんね」
って、ほんとにいい先生だったわ。
で、まず、退院の話。
2日の朝に診察して決めましょうとのこと。
それから、不育症の話。
ドクターグレイ、ぽかんとして、最初、あたしたちが何を言っているのかわからなかったみたいだったわ。あたしが、「二度流産してるので、親の側、あたしたちの側に何か問題があるんじゃないかと思って」って言ったら、「それは、まずありません」って一笑に付されちゃった。
今回の死因は完全に胎児の側の問題で、今までの検診であたしには何の異常もなかったから、いわゆる不育症とは違うだろうとのこと。
今回染色体の検査はしなかったから、胎児の問題の原因が染色体異常かどうかはわからないけど、それが分かったからといって、次回も染色体異常が起こるか起こらないかは分からない、2回こういうことが続いたからしばらく妊娠を控えたいというのは、精神的につらいなら意味があるかもしれないけど、身体的には間を置いたからといって何の関係もない、とにかく、親の側の原因じゃないかと思い悩む必要はまったくないから、気にしないで、妊娠自体は生理が1回あればもう問題ないから、とのこと。
一生懸命説明してくれるドクターグレイの姿勢に、ちょっと泣けてきたわよ。
「とにかく、次の妊娠も、早い時期からちゃんと私が見ますから、妊娠したら来てくださいね」
って言ってくれたわ。
(っていうか、あたし、全然気づいてなかったんだけど、ドクターグレイは、結構えらい先生だったみたい。夫がネームプレートを見て言ってたわ)

結局、彼は面会時間いっぱいにいて、帰って行った。
あたしはその晩、ほとんど眠れなくて。
でも、考えることがたくさんあって、あっというまに夜が明けたわ。

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